大手3社がアップルの「代理店に成り下がった」もう一つの理由は、多くのiPhoneユーザーにとって、 どの携帯電話事業者と契約するかはそれほど重要な要素ではなくなってしまったことだ。

 実際、ソフトバンクKDDIiPhoneの販売に参入した際、大量の顧客が流出すると危惧したが、事前に心配したほどではなかった。
NTTドコモiPhoneの販売に参入した際、
他社に転出したユーザーを呼び戻そうと自信満々で「おかえりキャンペーン」を実施したが、期待した効果を得られなかった。

アップルが音声通話サービスに参入しない不思議

 そもそもスマートフォンは、アップルやグーグルがアプリの配信基盤までも手掛けており、“キャリア依存度”が低い性格の端末ではある。
iPhoneに限った話ではないのかもしれないが、ユーザーの携帯電話事業者に対する関心は確実に低下した。
だからこそ、大手3社は通信だけでなく、電力や物販、ポイントとあの手この手で顧客とのタッチポイントを広げたり、ロイヤルティーを高めたりする取り組みに腐心している。

 今後の注目点は二つ。一つは、大手3社が不平等条約の呪縛からいつ抜け出せるか。
アップルにとって日本ほど効率良く販売台数を稼げる“おいしい”市場はない。
実現は相当に厳しいと思われるが、大手3社がそろってiPhone一本足打法を強いられている現状は明らかに不健全である。

 もう一つは、アップルによるMVNO事業への本格参入である。
アップルは現在でもiPad向けに「Apple SIM」を提供しているが、次のステップとして音声通話サービスを含めた展開が考えられる。
アップルは通信サービスに興味がないとされるが、スマートフォン市場の成長に陰りが見えてきた先進国、
中でも市場シェアが高い日本でこそ、本格参入する価値がある。
手厚いサポートを売りにする同社であれば、MVNOへの乗り換えに当たって多くのユーザーが抱く不安を払しょくできるはずで、成功は約束されたようなものだ。
むしろ、なぜ参入しないのか不思議なくらいだと筆者は考える。

 

“アップル代理店”に成り下がった携帯大手3社、不平等条約から抜け出せるか
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/17/022400046/032300022/