結局、最も割を食ったのはNTTドコモだ。2013年9月にiPhoneの取り扱いを始めるまでは、格好の草刈り場となった。

 MNPの転入出状況を見ると、2012年度は過去最悪の約141万件、2013年度も約123万件の転出超過を記録した。
携帯電話の販売は好不調の波があるが、KDDIソフトバンクはキャッシュバックを積み増せばすぐにリカバーできる状態だった。
販売施策を組み立てやすく、ある幹部は「心地良いキャッシュバック」と評していた。

販売台数のコミットが残る限り、アップル1強は続く

 最終的にはNTTドコモiPhoneを取り扱わざるを得なくなるまで追い込まれた。
NTTドコモiPhoneの販売を始めた結果、待っていたのは競争の同質化である。
端末やサービスは大手3社で横並び。料金で競争を仕掛けてもすぐに追随され、不毛な消耗戦に陥るだけである。
従来のような激しい競争は影を潜め、大手3社間の流動性が低下しただけだった。
総務省はこの状況を「協調的寡占」と見なし、格安スマホに代表されるMVNO仮想移動体通信事業者)の促進で対抗軸の形成に力を入れる。

 こうした経緯を踏まえて冒頭の話に戻ると、大手3社がアップルの「代理店に成り下がった」と説明した理由は2つある。

 一つは、iPhoneが大手3社の販売体制となったにもかかわらず、前述した販売台数のコミットが依然として残っていることだ。
大手3社にとってiPhoneが「なくてはならない存在」であることに変わりないが、もはや差異化要素ではなくなった。
スマートフォン市場は成長が鈍化しており、大手3社はアップルの厳しいノルマを達成するためにiPhoneを一生懸命に販売しているような構図に映る。

 日本はiPhoneのシェアが世界的に見ても突出して高いことで知られる。
iPhoneが優れた端末であることは間違いないが、販売台数のコミットに支えられてきた面は大きい。
ソフトバンクiPhone一本足打法と揶揄(やゆ)されたが、実質負担額0円を打ち出してでも売りさばかざるを得なかった。
KDDINTTドコモも然りである。
総務省は2016年から実質負担額0円の販売にメスを入れたが、
販売台数のコミットという不平等条件が残る限り、日本ではアップル1強の状況がしばらく続きそうだ。

 

“アップル代理店”に成り下がった携帯大手3社、不平等条約から抜け出せるか
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/17/022400046/032300022/