実際、MNP(モバイル番号ポータビリティー)による転入出状況の推移を見ると、その様子がよく分かる。

 ソフトバンクiPhoneの販売前から勢いが伸びていたが、販売後は上記のような効果が加わり、2010年以降は完全な独り勝ちだった。
この状況はKDDIiPhoneの販売に参入するまで続いた。

図2●携帯電話大手3社のMNP(モバイル番号ポータビリティー)転入出状況の推移。
iPhoneの取り扱いの有無が大手3社の明暗を分けた
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/17/022400046/032300022/zu2.jpg

KDDIの販売参入でドコモが草刈り場に

 KDDIも大きな恩恵を受けた1社。
ソフトバンクiPhoneの独占販売権を守るため、アップルに著しく有利な多くの条件を受け入れたことで有名だ。
国内シェアに基づいた販売台数のコミット(実質的には複数年にわたる買い取り契約とみられる)や、
Android端末より安いパケット定額料金の設定(近年ではなくなった)などだ。
こうした契約は世界でも珍しく、業界関係者の間では“不平等条約”と呼ばれる。

 KDDIソフトバンク以上に厳しい屈辱的な契約を結ばされたと言われるが、それを差し引いても大きな果実を得た。
2011年10月にiPhoneの取り扱いを始めると、2012年3月には携帯電話と固定通信のセット割「auスマートバリュー」を投入し、一気に勢いを取り戻した。
MNPの転入出状況にその様子がよく表れており、同社は2011年10月以降、
MNPの開示が終了する2014年3月まで、少なくとも30カ月連続で転入超過の1位を記録した。
一連の施策を用意周到に準備してきたため、KDDIの経営陣は相当に痛快だったはずだ。
ある幹部は「もはや弱点はなくなった」と豪語していた。

 この間、ソフトバンクイー・アクセス(現在のワイモバイル)買収に動いた。
イー・アクセス保有していた1.7GHz帯周波数の獲得が狙いだった。
それもKDDIに対抗し、iPhone 5向けのテザリングを提供するためだ。
KDDIイー・アクセス買収に動いていたが、わずか2週間弱の間に横取りされて終わった。
iPhone市場の覇権を巡り、業界3位による4位の買収にまで発展したことは驚きだった。

 

“アップル代理店”に成り下がった携帯大手3社、不平等条約から抜け出せるか
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